
これら様々な催し(レクリエーション)は、時間の見当識改善の効果が期待できるものと考えています。入院すると、時間の見当識が低下する事が少なくありません。私達は、週末の友人との食事を楽しみにしたり、家族で海に出かけることを楽しみにすることにより、時間の見当識を保っているのではないでしょうか。入院生活において、毎日代わり映えのない生活(目標のない生活)を過ごすと、当然、脳は「時間」という概念を排除してしまいます。様々な催しがあることで、その会を楽しみにして、スタッフと会話(「夏祭りは明日かな?」「まだまだ、土曜日じゃが。今日は月曜日」)する。すると脳は、時間や日付の情報を保持しよう、適応しようとするのです。
※ 時間の見当識障害とは、季節や日付、朝・夜などが認識できない状態で、認知症や高次脳機能障害などでみられます。
自分のために何十人が集まり拍手してくれる、これほど気持ちいいものはありません。「あぁ生きてて良かった」と涙する患者さんは少なくありません。いつも怒っている患者さんが涙を流す姿を見て、家族や職員、他の患者さんも、もらい泣き。それはお互いを認め合う行為であり、共感し合っているわけです。前頭前野から辺縁系の活性化がみられると思われます。
当院では、その人らしさを引き出す手立ての一つとしても、様々な催しを企画しています。本当の自分を理解してもらえずに生きるほど苦しいことはない。過小評価されても、買いかぶられても嫌なものです。本当の自分を理解してもらえない環境で活き活きと生活することは困難です。茂木賢一郎は、人は安全基地があるからこそ挑戦することが出来ると述べています。安全基地とは、自分を理解してくれている環境です。患者さんにとっての安全基地を確保し、ADLの向上を目指そうとする力を援助しています。
笑った後は、「身体の動きが良くなる」「声が大きくなる」などといった変化が見られることは少なくありません。また、身体的な変化だけでなく、笑い合うということはお互いに共感するということです。これは人間だから出来る能力であり、コミュニケーションの基礎です。笑うと言うことは、喜びであり、「快」です。快は前頭前野を活性化します。前頭前野の活性化は認知症の予防にもなり得ます。私たちは共に「笑い合える」ということを大事にしていきたいと思っています。